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住宅ローンや事業性の融資などの負債が残る不動産を相続した場合、相続人は不動産そのものだけではなく、それらの負債も引き継ぐことになります。相続に際しては、不動産の評価額と負債額を正しく把握し、単純承認・限定承認・相続放棄のいずれが有利かを冷静に判断しましょう。
相続した不動産に抵当権がついているかどうかを調べるには、法務局で取得できる「登記事項証明書(登記簿謄本)」を確認するのが基本です。
登記事項証明書の乙区に抵当権設定の有無や債権者の情報が記載されています。インターネットを利用してオンラインで請求できます。遠方の不動産であっても確認が可能です。
相続人が複数いる場合は、代表者が調査して内容を共有しておくと安心です。
不動産の登記簿のうち、所有権以外の権利関係が記載される箇所を「乙区(おつく)」と呼びます。この乙区を確認することで、不動産を借入れの担保に入れていることを示す「抵当権(ていとうけん)」の有無を把握できます。
ここで特に注意したいのが、「根抵当権(ねていとうけん)」の存在です。
通常の抵当権は、特定の借入れを完済すれば消滅します。しかし根抵当権は、あらかじめ決めた上限額(極度額)の範囲内で、将来にわたって何度でも借入れと返済を繰り返せる仕組みです。そのため、登記簿に記されているのは実際の残債額ではなく、あくまで「最大でここまで借りられる」という「極度額」にすぎません。
相続時点での正確な債務額を把握するには、登記事項だけで判断せず、金融機関へ直接残高を確認するプロセスが極めて有効です。
抵当権が設定されていることが分かったら、その具体的な内容を把握することが大切です。登記事項証明書には、借入額(極度額)や債権者の名前、抵当権設定日などが記載されています。
これにより、残債務の規模や金融機関の種類が明確になり、相続後の対応方針を立てやすくなります。場合によっては借入の返済状況を金融機関に確認することも必要です。
こうした情報を整理することで、相続するか放棄するかの判断材料を得られます。
相続放棄とは、不動産などのプラスの財産と、借金などのマイナスの財産をすべて引き継がないとする手続きです。原則として、相続の開始を知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申し立てる必要があります。
注意すべきは、放棄を検討している段階での財産操作です。葬儀費用などの正当な支出を除き、親の預金を使ったり不動産を売却したりすると、「相続する意思がある」とみなされる「単純承認(後述)」に該当してしまいます。一度単純承認とみなされると、後から相続放棄をすることは不可能になるため、不用意に財産を動かしてはいけません。
単純承認は、預貯金も借金もすべての権利義務を無制限に引き継ぐ方法です。特別な手続きは不要で、相続開始から3か月以内に他の手続きをとらなかった場合は、自動的に単純承認となります。資産が負債を明らかに上回る場合や収益物件として活用が見込める場合などに選ばれます。
ただし、負債の全容を把握する前に、形見分けの範囲を超えて遺産を処分したり、家賃収入を自分の懐に入れたりする行為には注意が必要です。これらの行為は「単純承認した」とみなされる原因となり、後から予想外の多額の借金が発覚しても、すべて背負わなければならなくなるリスクが生じます。
限定承認は、相続によって得た財産の範囲内でのみ、被相続人の債務を弁済する方法です。負債の総額が不透明なものの、プラスの財産が残る可能性がある場合に有効な選択肢となります。
留意すべきは手続きの難易度が高いということです。相続人全員で家庭裁判所に申述する必要があるうえ、相続開始を知ってから3か月以内という期限も設けられている点に注意しましょう。
限定承認を検討する際には、まず可能な限り財産と債務を精査したうえで、相続人全員で足並みをそろえることが重要です。
不要な土地を国に引き渡すことができる制度が「相続土地国庫帰属制度」です。2023年に始まった制度で、一定の条件を満たせば国庫に帰属させることが可能です。ただし、申請手数料や承認要件があるため、利用を検討する際は詳細を確認する必要があります。
負債のある不動産を相続することにはリスクもありますが、状況によっては相続税対策になるメリットがあります。
例えば、不動産に抵当権が設定されており、その残債が大きい場合、相続税の計算においては「不動産の評価額-負債額」で算出されます。つまり、不動産の市場価値が高くても、債務が差し引かれるため課税対象となる相続財産が減るのです。結果として、相続税の負担が軽減されるケースがあります。
また、借入金を差し引いた後でも収益性のある不動産であれば、長期的に賃料収入を得ながら相続税の節税効果を享受できる点も魅力です。もちろん、返済義務や管理コストとのバランスを考える必要はありますが、条件次第では節税と資産活用を両立できる可能性があるのです。
相続人が1人の場合、基礎控除3,600万に加えて財産額によって数百万の控除があります。仮に1億円(土地と建物で5,000万づつ)だった場合、以下のような計算式になります。
現金1億円 = (1億-3,600万) × 相続税率30% -700万 = 1,220万円
1億円で売れる自宅 = (8,000万 × 0.2)-3,600万 = 0円
※自宅は評価額が約8割に加え、小規模宅地等の特例で評価額が80%減額
1億円で売れる賃貸用不動産
= (建物:5,000万円 × (1 - 0.3) )+(土地:5,000万円 × (1 - 0.6 × 0.3) *0.5)
= (建物3,500万+土地2,050万) -3600万 = 1,950万 × 相続税率15% - 50万 = 242.5万円
賃貸に出す不動産は、立地や地域に応じて国税庁が定める「借地権割合」が設定されています。建物は借地権割合30%ですが、土地の場合は地域により異なり、30~90%となっています。そこからさらに小規模宅地等の特例で土地の評価額が50%減額となるが、本来なら評価額が下がるはずなので、実際はもっと安くなるはずです。
出典:No.4155 相続税の税率│国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm)
出典:財産を相続したとき│国税庁(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_5.htm#hyoka)
素人にとって相続に関する手続きや節税についての対応は複雑かつ難解です。そのためより専門的な知見や実績・実務上のノウハウを持つ専門家に相談することをおすすめします。このサイトでは「親の不動産」をテーマにさまざまなコンテンツを公開していますので、ぜひ参考にしてください。
一般社団法人 全国幸せ相続計画ネットワークは、中立的な立場で相続を支援する専門コンサルティング団体です。
司法書士・税理士・弁護士のほか、金融・不動産など各分野の専門家が連携。ご家族三代の幸せを見据えたサポートを提供。
全国幸せ相続計画ネットワークが活用している相続計画プランニングシステム「SIPS®」は、特許を取得※しています。相続人の納得感と満足感を与えると評価されたものです。
※参照元:シナジープラス公式サイト(https://synergy-plus.group/information/特許取得のお知らせ-2/)
「相続コンサルティング企業」とGoogle検索をして表示された47社のうち唯一特許を取得されています。(2025年3月12日調査時点)
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